こんにちは、いちもくです。
経済学者トマ・ピケティという名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
ピケティの名前とともに有名なのが、
r>g
という公式。
ピケティの経済学が世界中で話題になったのは、700ページ以上、日本円で税込み5,940円もする「21世紀の資本」が出版されたから。
- 現代のマルクス
- ロックスター経済学者
とも呼ばれるほど、ピケティは現代でもっとも有名な経済学者なんです。
これまでの経済学は、格差問題を軽視してきました。
そんな中、格差のメカニズムを解明し、既存の経済学に挑戦する研究こそが、トマ・ピケティの経済学。
文学や歴史学など様々な学問を内包するピケティの経済学は、所得と富についての膨大な税務データに基づいて、資本主義の本質を明らかにしています。
- 普通に頑張れば普通の生活を送れるのか
- 世の中が便利になれば格差が縮小するのか
- 市場が完全になれば格差が縮小するのか
- 物価が上昇すれば格差が縮小するのか
こうした経済学の疑問に対する、ピケティの逆説的な結論をわかりやすく解説した本が「コミックでわかるピケティ入門」です。
ピケティの経済学というと、資本収益率rと経済成長率gの間の不等式
r>g
に注目が集まり、資本を持つ者と持たざる者の間の格差が強調されがちです。
でもそれ以外にも、
- 資本を持たない「超」経営者の台頭について
- 勤勉と相続のどちらが優位であるか
についても明らかにされています。
今回は、そんな「コミックでわかるピケティ入門」の必読ポイントを詳しく解説していきます。
「コミックでわかるピケティ入門」のストーリー
主人公は、アメリカ帰りのトレーダー・鳴海エリカ。
個人投資家ながら、フィクサーのような動きをしており、動かす金額は中規模ファンドに匹敵するほどです。
そんなエリカの事務所で働いているのは、某有名私立大学経済学部に在学中の、鷹島和彦。
庶務兼雑用として、内容がわからないまま巨額の金が動く仕事の下働きに従事しています。
わずか1回の取引で、10億円を稼ぎ出すエリカ。
和彦がその理由を尋ねても、
「r>g」
という答えが返ってくるだけ。
そもそも和彦が鳴海事務所の採用面接を受けようと思ったきっかけも、求人欄に
r>gの謎を解き明かそう!
と書かれていたのが気になったからなんです。
そんな鳴海事務所の最終面接は、なんとあみだくじ。
「あたしは運のいいヤツが好き」
と言い切るエリカ。
果たして和彦は、鳴海事務所で資本主義の戦場を渡り歩いていくことができるのでしょうか。
「コミックでわかるピケティ入門」の必読ポイント
ピケティ経済学における「資本」とは?
ピケティ経済学を理解するためには、まずは資本について知っておく必要があります。
通常の経済学においては、資本とは工場や機械のように生産過程で用いられるものを意味します。
しかしピケティ経済学における資本とは、それらにとどまらない広い概念を指しているんです。
具体的には、
- 株式
- 社債
- 国債
- 銀行預金など
- 土地
- 住宅
- 工場
- 機械
- 特許など
に分けられます。
ピケティ経済学では、資本は所有や市場取引が可能なものと定義されています。
そのため、労働力や特殊技能といった人的資本は含まれませんし、大気や海、山も含まれません。
こうした資本に資本収益率を掛けたものが、資本所得となります。
資本所得=資本収益率×資本
資本収益率は、金利よりも広い概念であり、資本全般の平均年間収益率を意味します。
1円分の資本が1年間に生み出す平均的な価値であり、歴史上5%ほどで安定しています。
この資本所得と対になる所得が、労働所得です。
具体的には、給料やボーナスなど。
ピケティは、資本所得と労働所得を経済全体で足し合わせると、国民所得になると語っています。
つまり、
国民所得=資本所得+労働所得
ということになります。
資本主義のふたつの基本法則
ピケティ経済学とは、資本に注目して21世紀の格差問題に対する答えを導き出したもの。
そもそも資本格差や経済格差は、どのようなメカニズムによって発生し、拡大するのでしょうか?
この問題を考えるためには、ピケティが掲げた2つの重要な式を理解する必要があります。
資本主義の第1基本法則 α=r×β
資本主義の第2基本法則 β=s/g
α=資本所得/国民所得
r=資本/国民所得
s=貯蓄率
g=経済成長率
となります。
まず、資本主義の第1基本法則は、αつまり国民所得に占める資本所得の割合を定める式です。
資本所得の定義式
資本所得=資本収益率×資本
の両辺を、国民所得で割ることによって得られます。
次に、資本主義の第2基本法則は、βを定める式となります。
この式における貯蓄率とは、年間の貯蓄額/国民所得であり、経済成長率とは国民所得の年間増加率となります。
βとは、富の総額が国民所得の何年分であるのかを示すもの。
ピケティの経済学において、もっとも重視されている指標です。
βの値が大きいほど、資本主義的であると考えられます。
ピケティの経済学は、次のようなふたつの局面を行き来することによって、経済が動くと考えます。
- 貯蓄率sと経済成長率gが与えられると、資本主義の第2基本法則によりβが定まります。
- βが定めると、資本収益率r、貯蓄率s、経済成長率gが定まります。
これらの関係は、
- βが大きくなると資本収益率が減少する
- βが大きくなると貯蓄率が増加する
- βが大きくなると経済成長率は減少する
となります。
資本収益率と経済成長率の歴史的推移
ピケティは、資本収益率と経済成長率の関係を調べ、次のような事実を発見しました。
歴史を通じて、資本収益率が経済成長率を上回っている
これを表す数式が、ピケティの経済学でもっとも有名な
r>g
です。
過去に蓄積された富が経済成長以上の利益を生んでいるので、ピケティはこの状況を「過去が未来を蝕む」と表現しています。
ピケティはさらに、r>gのとき、次の2つの局面を往来してβが増えると述べています。
- 経済成長率が低いと、資本主義の第2基本法則によってβが増加する。
- βが増加すると貯蓄率が高くなるので、資本主義の第2基本法則によりβが増加する。
- 資本収益率が高いときにβが増加すると、資本主義の第1基本法則によりαが増加する。
- αが増加すると経済成長率が下がるので、βが増加する。
これらをまとめると、
資本収益率が経済成長率を上回る世界では、βが大きくなっていく
となります。
ピケティはβの増加を「資本主義化」と表現しており、今後はβの増加によって資本主義化が更に進み、「超」格差社会が到来すると述べています。
その解決策として、
- タックスヘイブンの撲滅
- 国際的に協調して資本へ累進税を賦課すること
を提唱しています。
さいごに
経済学者トマ・ピケティという名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
ピケティの名前とともに有名なのが、
r>g
という公式。
ピケティの経済学が世界中で話題になったのは、700ページ以上、日本円で税込み5,940円もする「21世紀の資本」が出版されてから。
- 現代のマルクス
- ロックスター経済学者
とも呼ばれるほど、ピケティは現代でもっとも有名な経済学者なんです。
これまでの経済学は、格差問題を軽視してきました。
そんな中、格差のメカニズムを解明し、既存の経済学に挑戦する研究こそが、トマ・ピケティの経済学。
文学や歴史学など様々な学問を内包するピケティの経済学は、所得と富についての膨大な税務データに基づいて、資本主義の本質を明らかにしています。
- 普通に頑張れば普通の生活を送れるのか
- 世の中が便利になれば格差が縮小するのか
- 市場が完全になれば格差が縮小するのか
- 物価が上昇すれば格差が縮小するのか
こうした経済学の疑問に対する、ピケティの逆説的な結論をわかりやすく解説した本が「コミックでわかるピケティ入門」です。
ピケティ経済学とは、資本に注目して21世紀の格差問題に対する答えを導き出したもの。
「コミックでわかるピケティ入門」を読めば、難解なピケティ経済学もわかりやすく学ぶことができますよ。
それじゃ、またね。
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