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【書評】電通さん、タイヤ売りたいので雪振らせてよ。

電通さん、タイヤ売りたいので雪振らせてよ。
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

こんにちは、いちもくです。

一昔前まではテレビCMを流し、店舗の一番目立つところに商品を陳列しておけば、商品は勝手に売れていたと思いませんか?

しかし、時代は変化しています。

何億円もの予算をかけて広告を出し、お店の一番いい位置を陣取っても、期待した反応を得られず消えていく商品が後を絶ちません。

その理由は、インターネットが普及し、ユーザーは検索やSNSなどで商品情報をチェックできるようになったから。

つまり、以前のやり方ではモノやサービスが売れない時代になってしまったのです。

そのため、売る側はさまざまな工夫をして、日々新たな「売れる手法」を開発しています。

そんな最新のマーケティング・販売戦略を、身近な事例をもとに紹介した本が「電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

旧来の方法では振り向いてもらえなくなった商品にも、再び注目の目を向けさせる「買わせるメソッド」が紹介された本です。

変化する「買い手」の購買心理に、どう働きかけるか。

そして、いかに買いたい空気をつくれるかが詳しく紹介されています。

今回は、そんな「電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。」の必読ポイントを詳しく解説していきます。

 

「電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。」の必読ポイント

「飢餓」で買わせるメソッド

飢餓

商品やサービスが手に入らない「極端な品薄状態=飢餓状態」をあえてつくることで、購買意欲を高めることができます。

実際に売れ行きが良すぎて「飢餓状態」が発生した商品に、2017年に湖池屋から発売されたポテトチップス「プライドポテト」という商品がありました。

プライドポテトは発売当初から想定以上の人気を博し、生産が追い付かなくなるほど。

そこで湖池屋は「販売休止」を発表したところ、そのニュースがYahoo!ニュースに取り上げられるほどの反響を呼んだんです。

品薄状態になってしまったことで、より商品に注目が集まり、一層関心が高まることがあります。

普通に考えると「品薄」は、販売機会の損失になるため、売り手としては何としても避けたいもの。

でもSNSが発達したことにより、人気商品の極端な「品薄状態」=「飢餓状態」は、逆に強力な「買わせるメゾット」になる可能性があります。

なぜならば「飢餓状態」に陥った人たちの騒動が、SNSでどんどん膨張し、それが宣伝効果を生むからです。

そのそも商品の価格は、需要と供給のバランスによって成り立つというのが、経済の基本原則。

だから商品やサービスを供給する側は、供給量を調整することでその価格をコントロールしています。

その視点からすれば「品薄商法」は、一種の供給量コントロールと言えるでしょう。

需要に対し、供給量を減らすことで、商品価値を高めているからです。

そして商品価値を最大に高める究極の供給量調整は、

「供給ゼロ」

つまり「売らない」ということです。

10代・20代の女性に大人気の、とある超有名アパレルブランドが取る手法は「買えない状態」を保つというもの。

ファッションブランド

ファンの間では、そのブランドの洋服は「雑誌に出たときにはもう遅い」と言われています。

本社はそれを把握しているのですが、あえてほんの少ししか服をつくらないのです。

「買えない」状態を保つことが、ブランドの人気を保つ秘訣。

「この服、超カワイイのにどこも売り切れ!」

という状態は、ファンの購買欲求を強く刺激します。

 

「あの人」で買わせるメソッド

あの人で買わせる

高い業績をあげている販売員には、どんな業種でも共通する接客スタイルがあります。

それは、買い手が一番警戒していることを理解しているということ。

買い手が警戒しているのは、商品を「押し売り」され、買わされてしまうことです。

  • 今買わないと、次はいつ入荷するかわかりません
  • セールは今日が最終日です

といった「売り文句」は嫌われます。

そんな「売り文句」と違い、買い物客に全く警戒されないのが「買い文句」です。

買い文句とは、

買い物客が、買い物中に、頭の中に思い浮かべる言葉

のこと。

人は、自分が考えていることと同じ考えを持つ人に、親近感を抱きやすくなります。

だから買い手が考えていそうなことがわかれば、それを話すだけで「買い文句」になります。

たとえば、

それ、いいんですよね

という声かけ。

わずか7文字の短い言葉ですが、そこには大きな意味が込められています。

「それ、いいんですよね」は、「相手に共感を示す言葉」。

つまり、買い物客の気持ちに寄り添った、買い物客目線の言葉です。

ほかにも、

大きめのバッグを手に取ってみている人に対して、

バッグ

「そのくらいの大きさって、使い勝手がいいですよね」

おつまみを手に取っている人の買い物かごに、赤ワインが入っているのを発見したら

赤ワイン

「それ、赤ワインに合うんですよね」

買い物客の脳内に発生しているであろう言葉を、先回りして予測し、そこに共感を示せば「買い文句」が出来上がります。

 

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「ネタ」で買わせるメソッド

ネタで買わせる

10年以上前は、飲食店は立地が9割といわれていました。

でも現代は、その店に実力さえあれば、たとえ不便な場所であっても客はやってきます。

その理由は、SNSの情報網が発達し、口コミで人が集まるから。

「悪立地」だと土地代は安く、周辺に競合もいません。

つまり、当たればでかいんです。

記事にした店がすぐに人気化するような、影響力の大きいグルメブロガーは、こういった行きにくい場所を好みます。

なぜならブロガーは、まだ誰にも紹介されていない「手垢がついてない店」を探しているからです。

そして、その記事を閲覧した視聴者にも楽しみが生まれます。

その店が辺境であればあるほど、その店を訪問すること自体がイベント化するからです。

 

「恐怖」で買わせるメゾット

恐怖で買わせる

恐怖を感じたとき、人間の脳内には「闘争と逃走」のホルモン「ノルアドレナリン」が分泌されます。

ノルアドレナリンは集中力を高める作用があり、結果的に対象を記憶しやすくすると言われています。

マーケティングでは、まず注目させ、覚えてもらうことが必要。

「恐怖」を使うことで、そのミッションを容易に達成することができます。

ちなみに、恐怖の感じる脳の部位と、快楽を感じる脳の部位は近接しているそうです。

そして脳は、恐怖で得られた緊張感を、目の前の「相手への好意」と勘違いすることがあるんです。

有名なのは、吊り橋理論。

吊り橋

揺れる吊り橋の真ん中で告白したほうが、揺れない吊り橋よりも成功率が高いという実験結果があります。

ということは、恐怖のどん底に落とされたとき、突然その商品がスーパーマンのように登場すれば、人は「恋心」を抱いてしまうかもしれません。

恐怖から救い出してくれるのが、今まさに目の前にある商品だと知ったならば、溺れる者がワラをつかむよりも早く、その商品を手中に収めたいと思うかもしれません。

  • 老後の生活に関する不安
  • 健康に関する不安
  • お金に関する不安
  • 進学や就職に関する不安

こうした不安をあおることで、商品を販売しようとする手法は世の中にあふれています。

毎日の生活に、言い知れぬ「不安」や「不満」が多すぎるとしたら、それは誰かが「恐怖マーケティング」で植え付けたものかもしれません。

 

さいごに

一昔前まではテレビCMを流し、店舗の一番目立つところに商品を陳列しておけば、商品は勝手に売れていたと思いませんか?

しかし、時代は変化しています。

何億円もの予算をかけて広告を出し、お店の一番いい位置を陣取っても、期待した反応を得られず消えていく商品が後を絶ちません。

その理由は、インターネットが普及し、ユーザーは検索やSNSなどで商品情報をチェックできるようになったから。

つまり、以前のやり方ではモノやサービスが売れない時代になってしまったのです。

そのため、売る側はさまざまな工夫をして、日々新たな「売れる手法」を開発しています。

そんな最新のマーケティング・販売戦略を、身近な事例をもとに紹介した本が「電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

旧来の方法では振り向いてもらえなくなった商品にも、再び注目の目を向けさせる「買わせるメソッド」が紹介された本です。

変化する「買い手」の購買心理に、どう働きかけるか。

そして、いかに買いたい空気をつくれるかが詳しく紹介されている、おすすめのマーケティング本ですよ。

それじゃ、またね。

 

 

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