こんにちは、いちもくです。
出会いの場や恋愛で活躍することの多い酒の席。
仕事においても、職場の同僚や取引先とお酒を飲む機会は多いのではないでしょうか。
そんなお酒の席で、相手に好印象を与えられる絶好のタイミングが「お酌」です。
お酌にちょっとした心遣いを込めるだけで、相手は無意識にあなたのことを意識しはじめるもの。
誰にでもできる簡単なお酌のテクニックが、「残心を意識する」ことです。
今回は、お酌と斬新について詳しく解説していきます。
「お酌」は、仲良くなりたいという意思表示
最近では、
「女性にお酌を強要するのはセクハラだ」
「お酌なんて面倒だから自分のペースで飲めばいい」
という人も増えているようです。
でも、そもそもお酌する行為は、「相手と仲良くなりたい」「あなたともっと話がしたい」という意思表示なんです。
そして、お酌してもらうために酒器を手に持つのは、そんな相手の気持ちを受け入れるという肯定的な態度。
要は、お酌とはお酒の席でのコミュニケーション・テクニックなんです。
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お酌の起源
日本では昔から、お酒の席ではお酌する文化がありました。
「盃を交わす」という言葉がありますが、盃を使って酒を酌み交わすことは「杯事(さかずきごと)」と言います。
この盃は、「絆を強める」ために行われてきた風習です。
血縁の無い人間関係を強い絆で結ぶために、上位者が先に口にした盃を、下位者が頂いて口にする慣わしは昔からありました。
たとえば神道の結婚式では、男女が神前で3種の盃を用いて酒を飲む「三々九度」という儀式があります。
また、結婚式に参列した親族が、共に盃で酒を飲む「親族固めの杯の儀式」といったものもあります。
こうした儀式を行うことで、夫婦とその親戚関係の絆が深められると考えられてきました。
ほかにも、水を酌み交わす「水杯(みずさかずき)」といったものもあります。
水杯とは、今生の別れとなることが予想されるときに、酒ではなく水を酌み交わし、別れを惜しみむ儀式のこと。
太平洋戦争中、神風特攻隊の出撃前に、隊員達は水杯を酌み交わしていました。
こうした「盃を交わす」文化こそが、お酌の起源だと考えられています。
諸説ある、お酌の起源
お酌の起源については、諸説あります。
その中でも有名なのが、江戸時代にお酒を配達していた女性が、お酌の起源だという説。
江戸時代、お酒を造るのは男性の仕事でした。
造られたお酒は、近所へ配達することも多かったそうです。
そしてお酒を配達するのは、女性の仕事。
女性がお酒を届けに行くと、待ち焦がれていた酒が来たのが嬉しくて、湯呑み茶碗を玄関先まで持ってくる人もいたそうです。
配達の女性は、「こんなに喜んでくれるんだから、一杯くらい注いであげよう」と、お酒を茶碗に注いであげる機会が自然と増えていったとか。
玄関先で女性がお酒を注いであげるのが、いつしか当たり前のサービスとなり、それがお酌の起源になったという説です。
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上手な「お酌」のやり方と受け方
お酒の席でお酌するのは、ビールや日本酒が多いのではないでしょうか。
ビールを注ぐ際のマナーとしては、
- ラベルの位置が上になるように持つ
- 両手で瓶を持って注ぐ
といったスタイルが良いと言われています。
ビールを受ける際も、両手でグラスを持つのが良いとされています。
日本酒を注ぐ場合は、
- 両手で徳利を持つ
- 首の部分は持たないようにする
- テーブルに置かれた盃には注がない
といった、昔から言われ続けている作法があります。
日本酒を受ける際も、
- 小さな盃を両手で持つのが良い
- 注いでもらってすぐにテーブルに置かない
といった受け方が良いとされています。
こうした作法に則ってお酌ができれば、お互い気持ちよくお酒を飲めるはず。
でも、それよりももっと大切にすべき作法があるんです。
それこそが、「残心を意識する」ことです。
お酌は「注ぎ終わり」が大事
ビールや日本酒を注ぐときに、注ぎ終わりに注意している人は少ないのではないでしょうか。
会話に気を取られたり、他のことに注意が散漫になってしまうと、注ぎ過ぎて飲み物が溢れてしまうこともあります。
また、意外と失敗しがちなのが「しずく」です。
先日、ある料亭で、中居さんからお酌してもらうことがありました。
お酒を注ぎ終わって、中居さんが徳利を手前に引くときに、僕の掌の上にしずくがたれてしまったんです。
中居さんは、そのことに全く気づいていない様子でした。
なぜ気づかないのか、気になってそれとなく観察してみました。
どうやら、目の前の客に注ぎ終わった瞬間、既に隣の客に注ごうとする準備態勢に入ってい他のが原因だったようです。
お酌は「残心」が大切
「残心(ざんしん)」という言葉があります。
残心とは、武道や芸道で使われる機会の多い言葉。
残身、残芯と書くこともあります。
意味は、心が途切れることなく意識し続ける状態のこと。
武道においては、1つの技を終えた後、力を抜いてはいるけれど、相手や技に対して意識を払い続けている状態のことを指します。
日本舞踊などの芸道でも、踊りの区切りごとの終わりに「残心」が大切だと言われています。
指先や足先まで神経を尖らせ、途中で気を抜かず最後まで舞い切ることで、ようやく「お仕舞い」となります。
その場に余韻を残しておけるのが、一流の武道家や役者なんです。
お酌をしてくれた中居さんは、この「残心」ができていない、言わば「仕舞い」ができていなかったのかもしれません。
お酌をする際は、注ぎ終わるまで意識を手元に向け続け、注ぎ終わったら相手の目を見るくらい余裕を持っておくのがおすすめです。
「どうぞ、お召し上がりください」という気持ちを込めて、相手と目を合わせることが「お酌における残心」になります。
これはお酒に限らず、お茶や水を注ぐ際にも使える所作。
自分の気持ちを相手に渡そうとする「残心の心構え」を持っておけば、飲み物を注ぐ行為は「作業」ではなく、最上級のおもてなしになります。
コミュニケーションにおいて「残心」を意識できれば、相手に好印象を与えられること間違いありません。
それじゃ、またね。
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