やあ、いちもくだよ。
僕は小説が好きで毎日本を読んでいるんだけど、面白い小説と出会ったら、その作家の作品を続けて読むことが多いんだ。
最近続けて読んだのが、湊(みなと)かなえ先生の作品。
映画『白ゆき姫殺人事件』や『告白』の原作小説を書いた方だよ。
読んだ後に嫌な気持ちになるミステリー「イヤミス」というジャンルを築き上げた作家だね。
湊かなえ先生の作品は、読み始めると止まらなくなる、不思議な魅力に溢れているんだ。
湊かなえ作品の魅力
湊かなえ先生は、広島県出身の1973年生まれ。
子どもの頃から空想好きで、小中学生の頃は江戸川乱歩や赤川次郎の作品が好きだったそうなんだ。
大学卒業後は、アパレルメーカーに就職後、青年海外協力隊隊員として、トンガに赴任するよ。
トンガでは、家庭科教師として栄養指導に2年間携わるんだ。
帰国後に、兵庫県の淡路島で家庭科の非常勤講師に就任。
結婚後、2004年から脚本や川柳の創作を開始するんだ。
2007年には『聖職者』で第29回小説推理新人賞を受賞し、小説家デビュー。
2009年に発表した『告白』は、第6回本屋大賞を受賞。
2010年に『告白』は映画化され、書籍の売り上げは累計300万部を超える大ベストセラーとなったんだ。
その後も数々のテレビドラマ脚本や小説を手掛け、読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」というジャンルを確立した作家だよ。
\忙しくても、耳は意外とヒマしてる/

告白

あらすじ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。
語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。
衝撃的なラストは物議を醸した。
引用:「BOOK」データベース
感想
読み進めるうちに、少しずつ気分が悪くなってくる小説。
不思議なことに、そんな気分の悪くなる小説なのに、どんどん読み進めたくなって、最後まで一気に読んでしまったんだよね。
伏線が至る所にちりばめられていて、徐々に繋がっていくストーリーは、まさに鳥肌もの。
読み終わた後の後味の悪さは、他の小説ではなかなか味わえないと思うよ。
人間の負の部分をこれほどまでに表現した小説を、初めて読んだときは衝撃的だったんだ。
湊かなえ先生の名前を世に知らしめた、鮮烈のデビュー作品だよ。
少女

あらすじ
親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀。
自分は死体なんかではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。
自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。
ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く。
それは、死の瞬間に立ち合うために。
引用:「BOOK」データベース
感想
2人の女子高生が織りなす友情物語・・・なんて単純なストーリーではなく、『告白』と同じように、読み進めるうちに少しずつ嫌な気持ちになってくる小説なんだ。
『告白』ほど、後味の悪さを感じる作品ではなく、むしろ爽やかさを感じられる部分もあるんだよね。
2人の行動は、一見すると何の繋がりもないんだけど、後半それらが少しずつ重なっていくよ。
男性には分かりにくい、女性特有の感受性で描かれている場面も多いから、女性のドロドロした部分が少し理解できてくる気がするんだ。
Nのために

あらすじ
超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。
現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。
それぞれの証言は、驚くべき真実を明らかにしていく。
なぜ夫妻は死んだのか?
それぞれが想いを寄せるNとは誰なのか?
引用:「BOOK」データベース
感想
読み進めるうちに明らかになっていく、登場人物たちの暗い過去。
登場人物の過去を知れば知るほど、何とも言えない嫌な気持ちが沸き起こってくるんだ。
『告白』や『少女』と比べると、ミステリー作品として楽しめる1冊だね。
Nとはいったい誰のことなのか、想像しながら読むのが面白い作品だよ。
本当の愛とは、一体なんなんだろうね。
夜行観覧車

あらすじ
高級住宅地に住むエリート一家で起きた、センセーショナルな事件。
遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。
その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。
衝撃の「家族」小説。
引用:「BOOK」データベース
感想
高級住宅街に住んでいるからといって、家族皆が仲良く幸せとは限らないよね。
親の都合や見栄で、不幸になってしまう子どもがいるかもしれないしね。
そんな、どこにいてもおかしくないような家族。
でも、湊かなえ先生の描く家族小説は、そんな生易しいものではないんだ。
私立の女子校入試に失敗した娘の、荒れようや責任転嫁の描写は、読むと嫌な気持ちになってくるよ。
現実にも、ささいなことがきっかけで家庭内不和になることがあるけれど、家庭内暴力や殺人事件にまで発展するような事件は、こんな家族に対する不満が溜まりに溜まって起こるのかもしれないね。
最後まで読めば、作品タイトルの意味も、妙に納得できるんだ。
往復書簡

あらすじ
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子6人に会いに行く。
6人と先生は、20年前の不幸な事故で繋がっていた。
それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、6人目となかなか会う事ができない。
過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされていく。
感想
手紙に関する、3つのストーリーが盛り込まれた作品。
僕は最後のストーリーが一番好きだったんだ。
読み終わった後は、思わず手紙を書きたくなる作品だよ。
『告白』とは全く違う、読後の余韻を楽しめる本なんだ。
白ゆき姫殺人事件

あらすじ
化粧品会社の美人社員が、黒こげの遺体で発見された。
ひょんなことから事件の糸口を掴んだ、週刊誌のフリー記者・赤星は、独自に調査を始める。
聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは、行方不明になった被害者の同僚。
ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。
噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。
引用:「BOOK」データベース
感想
ミステリー小説は、「犯人は誰なんだろう」と想像しながら読み進めるのが、一番の楽しみなんじゃないかな。
でもこの小説は、巻末の「関連資料」を同時に楽しみながら読み進められる作品なんだ。
関連資料は、必要な部分だけを読むのがおススメだよ。
関連資料を一気に読んでしまうと、ストーリーや犯人のヒントが分かってしまうからね。
Kindleなどの電子書籍よりも、紙の本が読みやすいんじゃないかな。
マスコミやネットの怖さが存分に描かれていて、読んでいて胸が締め付けられるような作品なんだ。
ユートピア

あらすじ
地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・菜々子と、夫の転勤がきっかけで社宅住まいをしている妻・光稀、移住してきた陶芸家・すみれ。
美しい海辺の町で、立場の違う3人の女性たちが出会う。
「誰かのために役に立ちたい」という思いを抱え、それぞれの理想郷を探すのだが・・・。
引用:「BOOK」データベース
感想
3人の女性たちが織りなす、ドロドロした人間関係。
地方に住むとありがちな、他人を見下す気持ちや偏見、いじめ、夫の地位がそのまま妻のポジションに影響することなど、口には出さないけれど心の中で誰しも考えているような、人間の負の部分が描かれているよ。
ストーリーの中で殺人事件が絡んでくるけれど、ミステリー要素は少なめです。
女性の本音と建て前など、人間の裏側を覗いてみたい人におススメの作品だよ。
さいごに
湊かなえ先生は、「イヤミスの女王」と呼ばれるほど、読んだ後嫌な気持ちになるミステリー作品が多いんだ。
おそらく、男性よりも女性の方がイヤミスを好きになる人が多いんじゃないかな。
「昼ドラ」のように、本音と建て前の使い分け、嫌がらせや足の引っ張り合いといった、人間の負の部分が描かれているんだ。
立て続けに読むと、人間不信になりかねないので、「イヤミス」は時々読むのがいいのかもしれないよ。
じゃ、またね。
\忙しくても、耳は意外とヒマしてる/




