こんにちは、いちもくです。
フランス映画といえば、おしゃれでセンスの良い映像と音楽が特徴的です。
大人の粋な会話を楽しめる、傑作恋愛映画も多数。
それだけでなく、世界中で大ヒットした「アメリ」を初め、ヌーベルバーグの流れを持ったアートのような作品も揃っています。
フランス映画の歴史は古く、世界の映画史から見ても、フランス映画は常に時代の最先端を走っていました。
ハリウッド映画とは一味違う、独特の世界観が魅力のフランス映画。
今回は、そんなフランス映画の古典的名作から最新作まで、絶対に外せないおすすめ作品を紹介します。
ハリウッド映画とフレンチ・シネマの違い
アメリカのハリウッドでつくられる映画は、アクションやサスペンス、ラブストーリーと、様々なジャンルがあります。
そのほとんどは、ハッピーエンドのストーリー。
対してフレンチ・シネマは、ハリウッド映画に比べると、人間の機微をテーマにしたものが多いんです。
もちろん、華やかなアクション映画もたくさんありますが、切ないラブストーリーやヒューマンドラマに関しては、フレンチ・シネマにも名作がたくさんあります。
登場人物の心理描写を、掘り下げて描いている映画が多いんです。
ハリウッド映画は、国籍を問わず老若男女楽しめる作品。
フレンチ・シネマは、ちょっぴりオトナ向けの作品が多いのかもしれません。
フレンチ・シネマには美男美女が多い
古くはアラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモンドなど、イケメン俳優の作品が多いのも、フレンチ・シネマの特徴です。
女優も、エマニエル・ベアール、ダニエル・ダリューといった、美人女優が多数います。
映画に登場する美男美女は、身に付けているファッションもオシャレ。
時代を経ても、古さを感じさせないファッションを身にまとっているんです。
余韻を楽しめる作品が多数
フレンチ・シネマには、恋愛を描いた作品も多数あります。
もちろんハッピー・エンドの作品もありますが、三角関係や子どもの淡い恋物語を描いた作品もあり、思わず胸が締め付けられます。
難解な映画も多く、ラストが明快ではない作品もあるんです。
そんな映画は、余韻を楽しむのにぴったり。
例えば、恋人同士でフレンチ・シネマを鑑賞した後、のんびりコーヒーを飲みながら映画の感想を語り合うのには、ハリウッド映画よりもフレンチ・シネマがしっくりきます。
他国との合作映画が多い
フレンチ・シネマには、イタリアやアメリカとの合作映画が多いのが特徴です。
合作映画は、それぞれの国の映画の特徴が取り入れられています。
フランスのエスプリと、イタリアやアメリカのスタイルを併せ持つ映画は、作品ごとに個性が違っていて面白いですよ。
おすすめのフレンチ・シネマ
太陽がいっぱい
パトリシア・ハイスミスの原作小説を、巨匠ルネ・クレマン監督が映画化したサスペンスドラマ。
主演アラン・ドロンは、この作品で一気に有名になりました。
貧しいアメリカ人青年トムは、金持ちの道楽息子フィリップの父親に頼まれ、彼を連れ戻すためナポリにやってきました。
金にものを言わせ女遊びに明け暮れるフィリップに怒りと嫉妬を覚えたトムは、フィリップを殺して彼に成りすまそうと計画するのですが、そう上手くはいきません。
そしてラストに待ち受けているのは、まさかの展開。
アラン・ドロンのかっこよさだけでなく、冷酷なフィリップを演じるモーリス・ロネ、その恋人を演じるマリー・ラフォレの美しさも必見です。
シェルブールの雨傘
互いに愛し合っていた傘屋の少女と修理工の若者が、戦争に引き裂かれ、別々の人生を歩くまでを描くミュージカル映画。
フランス北西部の港町シェルブール。
自動車修理工の青年ギイと、傘屋の娘ジュリビエーブは、結婚を誓い合った恋人同士でした。
そんなある日、ギイに送られてきたのは、アルジェリア戦争の徴兵令状。
語り調のセリフを全て排除し、歌で表現することでロマンティシズムと哀愁を誘ってきます。
第17回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した、傑作ミュージカルです。
レオン
舞台はニューヨーク。
家族を殺され、隣室に住む殺し屋レオンのもとに転がり込んだ12才の少女マチルダは、家族を殺した相手への復讐を決心します。
戸惑いながらもマチルダに救いの手を差し出すレオン。
そこから二人の奇妙な共同生活が始まります。
やがて二人の間には、父娘とも恋人ともつかない愛情が芽生えていくのですが・・・。
『グラン・ブルー』『二キータ』のリュック・ベッソン監督の、ハリウッドデビュー作です。
グラン・ブルー
海とイルカに魅了された男の宿命を描く、感動のストーリー。
スキューバの道具を用いずに海に潜るフリーダイビングにすべてを賭ける、イタリア人エンゾとフランス人のジャック。
幼なじみの2人は、互いをライバル視しながらも友情を育んでいました。
フリーダイビングの国際選手権で競い合うことになった2人ですが、ジャックの忠告を無視したエンゾは帰らぬ人となってしまいます。
その夜、幻覚を見るジャック。
妊娠している恋人のジョアンナを一人置いて、彼は深海へと消えていきました。
リュック・ベッソン監督の原点とも言える映画です。
アメリ
神経質な両親の元で育ち、小さい頃から空想の世界で遊ぶのが大好きだったアメリ。
22歳になった今でも、モンマルトルのカフェで働き、周りの人々を観察しては想像力を膨らませて楽しんでいました。
ふとしたきっかけに、アメリは他の人を幸せにすることに喜びを見出します。
他人の人生にこっそりおジャマしては、ちょっぴり悪戯を仕掛け、人知れずお節介を焼いて回る毎日。
そんなアメリも自分の幸せにはまったく無頓着。
ある日、不思議な青年ニノに出会ったアメリはたちまち恋に落ちてしまいます。
自分の気持ちを素直に打ち解けることができないアメリは、どうすればいいか分からず悪戯を仕掛けるのですが・・・。
冒険者たち
元レーサーのローラン、アクロバット飛行をしているマヌー、芸術家の卵レティシアの3人は、奇妙な友情で結ばれていました。
レティシアに恋心を抱く2人でしたが、ある日アフリカの海底に5億フランの財宝が眠っているとの噂を耳にします。
夢を追う彼らは、海底に眠る財宝を引き上げるため、アフリカのコンゴ沖にオンボロ船で向かいます。
男ふたり、女ひとりの恋愛関係。
複葉機で凱旋門をくぐるマヌー。
船の上でふざけあう3人。
そして海中に沈んでいく大切な人の遺体。
口笛を使ったフランソワ・ド・ルーペの音楽が、名シーンを切なく彩ってくれる名作です。
ポンヌフの恋人
ポレオス・カラックス監督による『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』に続く青春3部作最終章。
パリのポンヌフ橋で暮らす天涯孤独な大道芸人アレックスは、失明の危機と失恋による心の傷に絶望する女子画学生ミシェルと出会います。
2人は恋に落ち、やがて一緒に暮らし始めることに。
恵まれない境遇で生きてきた2人ですが、その愛はとても美しく、とても純粋。
人を愛せることに喜びを見出した2人が、花火を背景に踊る姿がとても印象的です。
最強のふたり
パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまい、車いす生活を送る富豪。
介護者として男に雇われたのは、刑務所を出たばかりの黒人青年でした。
共通点はゼロ。
高級住宅地とスラム、ショパンとクール&ザ・ギャング、超高級スーツとスウェット、洗練された会話と下ネタ、車いすとソウル・ミュージックに乗ってバンプする身体。
二人の世界は衝突し続けますが、やがて互いを受け入れ、ユーモアに溢れた最強の友情が生まれていきます。
2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞した作品です。
ぼくの伯父さん
プラスチック工場を経営するアルペルを父に持つ少年・ジェラール。
あらゆる場所が自動化されたモダンな家で暮らしているのですが、ジェラールはそんな家を全く気に入っていません。
堅苦しい自宅で過ごすより、母の弟であるユロ伯父さんと遊ぶのが大好きだったんです。
気ままでのんきなユロ伯父さんは下町暮らし。
行く先々で騒動ばかり巻き起こすユロ伯父さんの日常を、近代化・効率化への風刺を交えながらユーモラスに描いた作品です。
カンヌ国際映画祭審査員特別賞、アカデミー外国語映画賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されている傑作コメディです。
禁じられた遊び
第2次世界大戦中のフランス。
ドイツ軍によるパリ侵攻から逃れる途中、爆撃により両親と愛犬を亡くした5歳の少女ポーレットは、ひとりさまよううちに11歳の農民の少年ミシェルと出会います。
ミシェルから教えてもらったことは、死んだものは土に埋め、お墓を作るということ。
早速死んだ子犬を埋め、十字架を供える2人。
これをきっかけに、お墓を作って十字架を供える遊びに夢中になった2人は、教会や霊柩車からも十字架を持ち出してしまうのですが……。
ベネチア国際映画祭で金獅子賞、アカデミー賞で名誉賞(後の外国語映画賞)などに輝いた、映画史上の不朽の名作です。
王妃マルゴ
文豪アレクサンドル・デュマの同名小説の映画化作品。
激動の歴史の波にもまれながら果敢に生きた、16世紀のフランス宮廷に実在した伝説的な美女マルゴの生涯を描いた作品です。
16世紀末のフランス宮廷は、欲望と野望が渦巻く魑魅魍魎の世界。
国王を擁する旧教徒カトリックのヴァロワ家と、新教徒プロテスタントのブルボン家との間で内乱が勃発してしまいます。
事態を鎮静化するため、ヴァロワ家の母后は実娘マルゴの美貌を利用し、新教徒の指導者アンリとの政略結婚を画策します。
しかし、初夜を頑なに拒んだマルゴは宮殿を抜け出し深夜の町へ。
そこで運命の男ラ・モールと出会うことになります。
歴史の波に翻弄されながらも、愛を貫いた実在の王妃マルゴの半生を壮絶に描いた作品です。
アデル、ブルーは熱い色
第66回カンヌ国際映画祭で史上初、パルムドールが主演女優2人に贈られ話題を集めたラブストーリー作品。
ジュリー・マロによるフランスの人気コミックが原作です。
青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を、大胆なラブシーンの描写とともに描いています。
激しく愛し合う2人でしたが、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていくことになります。
レア・セドゥとアデル・エグザルコプロスの体当たり演技が刺激的な作品です。
男と女
当時無名だったフランスのクロード・ルルーシュ監督。
自ら資金を調達して製作した恋愛ドラマです。
スタントマンの夫と死別した脚本家アンヌと、妻に自殺されたカーレーサーのジャン・ルイ。
共にパートナーを亡くした男と女が子供を通して出会い、過去にとらわれながらも互いに惹かれ合う姿を描いた作品です。
印象的なテーマソング、切ない大人の恋など、時代を超えても色あせることのない魅力に溢れています。
タイピスト!
1950年代フランスを舞台に、タイプライター世界大会に挑む女の子の奮闘を、当時のカルチャー&ファッション満載で描いた作品。
都会暮らしに憧れて、田舎から出て来たローズは、保険会社を経営するルイの秘書に晴れて採用されるも、一週間でクビを言い渡されてしまいます。
クビを免れる条件は、彼女の唯一の特技であるタイプライター早打ち世界選手権で頂点に立つこと。
上司ルイのもとで特訓に励むローズでしたが・・・。
タイプの早打ち以外には取りえのないヒロインが、タイプ早打ち世界大会優勝を目指して奮闘するラブコメディーです。
パリ、ジュテーム
パリの各地区を舞台にした人間ドラマの数々を、1話約5分・全18本の短編にまとめたオムニバス・ムービー。
コーエン兄弟、ガス・バン・サント、アルフォンソ・キュアロンら世界各国の名匠が集結してつくられた作品です。
出演もイライジャ・ウッド、ナタリー・ポートマンなど豪華キャストが勢揃い。
等身大のパリの姿を堪能できる作品になっています。
さいごに
フランス映画といえば、おしゃれでセンスの良い映像と音楽が特徴的です。
大人の粋な会話を楽しめる、傑作恋愛映画も多数。
それだけでなく、世界中で大ヒットした「アメリ」を初め、ヌーベルバーグの流れを持ったアートのような作品も揃っています。
ハリウッド映画とは一味違う、独特の世界観が魅力のフランス映画。
一度見はじめたらその魅力にハマること間違いありませんよ。
それじゃ、またね。